医学部 医学科
集中治療における生体の複雑なダイナミクスを明らかにするために,基礎的な研究から臨床研究までシームレスに取り組んでいる。
現在取り組んでいる主な研究テーマは低酸素応答を介した臓器保護,敗血症における免疫機能障害,臓器不全における細胞死機構の解明である。
これらの研究を通して,敗血症を始めとした重症患者の根本的治療につながるトランスレーショナルな知見を得ることを目指している。
2006年3月 千葉大学医学部医学科卒業
2014年3月 横浜市立大学大学院医学研究科 博士課程修了
2025/11/10 更新
集中治療における生体の複雑なダイナミクスを明らかにするために,基礎的な研究から臨床研究までシームレスに取り組んでいる。
現在取り組んでいる主な研究テーマは低酸素応答を介した臓器保護,敗血症における免疫機能障害,臓器不全における細胞死機構の解明である。
これらの研究を通して,敗血症を始めとした重症患者の根本的治療につながるトランスレーショナルな知見を得ることを目指している。
2006年3月 千葉大学医学部医学科卒業
2014年3月 横浜市立大学大学院医学研究科 博士課程修了
博士(医学) ( 横浜市立大学 )
ネクロプトーシス
エネルギー代謝
低酸素誘導性因子
細胞死
臓器不全
敗血症
急性呼吸促迫症候群
ライフサイエンス / 救急医学 / 集中治療医学
ライフサイエンス / 麻酔科学 / 集中治療医学
横浜市立大学 大学院医学研究科
2010年4月 - 2014年3月
千葉大学 医学部 医学科
2000年4月 - 2006年3月
横浜市立大学 医学部医学科 生体制御・麻酔科学 准教授
2024年4月 - 現在
横浜市立大学 医学部医学科 生体制御・麻酔科学 講師
2019年4月 - 2024年3月
横浜市立大学医学部医学科 生体制御・麻酔科学 助教
2017年4月 - 2019年3月
横浜市立大学医学部医学科 生体制御・麻酔科学 特任講師
2016年4月 - 2017年3月
横浜市立大学 附属病院 麻酔科学
2010年4月 - 2016年3月
Natsuhiro Yamamoto, Kentaro Tojo, Takahiro Mihara, Rae Maeda, Yuki Sugiura, Takahisa Goto
Critical Care 29 ( 1 ) 2025年1月
Kentaro Tojo, Takuya Yazawa
Scientific Reports 15 ( 1 ) 2025年1月
Early alveolar epithelial cell necrosis is a potential driver of COVID-19-induced acute respiratory distress syndrome 査読 国際誌
Kentaro Tojo, Natsuhiro Yamamoto, Nao Tamada, Takahiro Mihara, Miyo Abe, Mototsugu Nishii, Ichiro Takeuchi, Takahisa Goto
iScience 26 ( 1 ) 105748 - 105748 2022年12月
Early Alveolar Epithelial Cell Necrosis is a Potential Driver of ARDS with COVID-19
Kentaro Tojo, Yamamoto Natsuhiro, Nao Tamada, Takahiro Mihara, Miyo Abe, Takahisa Goto
MedRxiv 2022年1月
声門狭窄を合併した再発性多発軟骨炎患者の周術期気道管理の経験
菊西 陽香, 井上 真光人, 山本 匠, 東條 健太郎, 吉田 輔, 横山 暢幸, 横瀬 真志, 入江 友哉, 高木 俊介, 後藤 隆久
日本集中治療医学会雑誌 28 ( Suppl.2 ) 362 - 362 2021年9月
Author Correction: The U‑shaped association of serum iron level with disease severity in adult hospitalized patients with COVID‑19. 査読 国際誌
Kentaro Tojo, Yoh Sugawara, Yasufumi Oi, Fumihiro Ogawa, Takuma Higurashi, Yukihiro Yoshimura, Nobuyuki Miyata, Hajime Hayami, Yoshikazu Yamaguchi, Yoko Ishikawa, Ichiro Takeuchi, Natsuo Tachikawa, Takahisa Goto
Scientific reports 11 ( 1 ) 16949 - 16949 2021年8月
Kentaro Tojo, Yoh Sugawara, Yasufumi Oi, Fumihiro Ogawa, Takuma Higurashi, Yukihiro Yoshimura, Nobuyuki Miyata, Hajime Hayami, Yoshikazu Yamaguchi, Yoko Ishikawa, Ichiro Takeuchi, Natsuo Tachikawa, Takahisa Goto
Scientific Reports 11 ( 1 ) 13431 - 13431 2021年6月
Kentaro Tojo, Natsuhiro Yamamoto, Takahiro Mihara, Miyo Abe, Takahisa Goto
Critical Care 25 ( 1 ) 169 2021年5月
高い吸入酸素濃度はARDSにおいて無気肺に伴う肺組織低酸素及び肺傷害を軽減しない
東條 健太郎, 矢澤 卓也, 後藤 隆久
日本集中治療医学会雑誌 27 ( Suppl. ) 658 - 658 2020年9月
Nao Tamada, Kentaro Tojo, Takuya Yazawa, Takahisa Goto
Shock 54 ( 1 ) 128 - 139 2020年7月
Effects of intraoperative tidal volume on incidence of acute kidney injury after cardiovascular surgery: A retrospective cohort study 査読
Kentaro Tojo, Takahiro Mihara, Takahisa Goto
Journal of Critical Care 56 152 - 156 2020年4月
Kentaro Tojo, Tasuku Yoshida, Takuya Yazawa, Takahisa Goto
Critical Care 22 ( 1 ) 228 - 228 2018年12月
Kentaro Tojo, Nao Tamada, Yusuke Nagamine, Takuya Yazawa, Shuhei Ota, Takahisa Goto
The FASEB Journal 32 ( 4 ) 2258 - 2268 2018年4月
Enhancement of glycolysis by inhibition of oxygen-sensing prolyl hydroxylases protects alveolar epithelial cells from acute lung injury. 査読
後藤 隆久
FASEB Journal fj201700888R 2018年1月
Comparison between High- and Low-Cost Transmission of Tele-Anesthesia in Japan. 査読 国際誌
Yoh Sugawara, Tetsuya Miyashita, Yusuke Mizuno, Yusuke Nagamine, Tomoyuki Miyazaki, Ayako Kobayashi, Kentaro Tojo, Yasuhiro Iketani, Shunsuke Takaki, Takahisa Goto
Journal of healthcare engineering 2018 9615264 - 9615264 2018年
Inhibition of Prolyl Hydroxylase Attenuates Fas Ligand-Induced Apoptosis and Lung Injury in Mice 査読
Yusuke Nagamine, Kentaro Tojo, Takuya Yazawa, Shunsuke Takaki, Yasuko Baba, Takahisa Goto, Kiyoyasu Kurahashi
AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY CELL AND MOLECULAR BIOLOGY 55 ( 6 ) 878 - 888 2016年12月
Kentaro Tojo, Takahisa Goto, Kiyoyasu Kurahashi
EUROPEAN JOURNAL OF ANAESTHESIOLOGY 33 ( 10 ) 776 - 783 2016年10月
Shuhei Ota, Takuya Yazawa, Kentaro Tojo, Yasuko Baba, Munehito Uchiyama, Takahisa Goto, Kiyoyasu Kurahashi
Journal of Intensive Care 4 ( 1 ) 8 2016年
Inhibition Of Prolyl Hydroxylase Attenuates Fas Ligand-Induced Apoptosis And Lung Injury In Mice 査読
Y. Nagamine, K. Tojo, T. Yazawa, S. Takaki, Y. Baba, T. Goto, K. Kurahashi
AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE MEDICINE 193 2016年
Atelectasis causes alveolar hypoxia-induced inflammation during uneven mechanical ventilation in rats. 査読 国際誌
Tojo K, Nagamine Y, Yazawa T, Mihara T, Baba Y, Ota S, Goto T, Kurahashi K
Intensive care medicine experimental 3 ( 1 ) 56 - 56 2015年12月
Edaravone prevents lung injury induced by hepatic ischemia-reperfusion 査読
Munehito Uchiyama, Kentaro Tojo, Takuya Yazawa, Shuhei Ota, Takahisa Goto, Kiyoyasu Kurahashi
JOURNAL OF SURGICAL RESEARCH 194 ( 2 ) 551 - 557 2015年4月
A pilot study of tele-anaesthesia by virtual private network between an island hospital and a mainland hospital in Japan 査読
Tetsuya Miyashita, Yusuke Mizuno, Yo Sugawara, Yusuka Nagamine, Yukihide Koyama, Tomoyuki Miyazaki, Kazuhiro Uchimoto, Yasuhiro Iketani, Kentaro Tojo, Takahisa Goto
JOURNAL OF TELEMEDICINE AND TELECARE 21 ( 2 ) 73 - 79 2015年3月
Role of nerve growth factor-tyrosine kinase receptor A signaling in paclitaxel-induced peripheral neuropathy in rats 査読
Yusuke Nakahashi, Yoshinori Kamiya, Kengo Funakoshi, Tomoyuki Miyazaki, Kazuhiro Uchimoto, Kentaro Tojo, Kenichi Ogawa, Tetsuo Fukuoka, Takahisa Goto
BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS 444 ( 3 ) 415 - 419 2014年2月
Reevaluation of the Effectiveness of Ramosetron for Preventing Postoperative Nausea and Vomiting: A Systematic Review and Meta-Analysis 査読
Takahiro Mihara, Kentaro Tojo, Kazuhiro Uchimoto, Satoshi Morita, Takahisa Goto
ANESTHESIA AND ANALGESIA 117 ( 2 ) 329 - 339 2013年8月
The distinct roles of hypoxia-activated transcription factors in atelectasis-induced lung injury: a pro-inflammatory role of nuclear factor-kappa B and an anti-inflammatory role of hypoxia-inducible factor-1 in lung epithelial cells
K. Tojo, N. Yusuke, T. Yazawa, T. Mihara, T. Goto, K. Kurahashi
EUROPEAN JOURNAL OF ANAESTHESIOLOGY 31 1 - 1 2014年6月
分離肺換気中の非換気側肺において無気肺に伴う低酸素が炎症を惹起する
東條 健太郎, 長嶺 祐介, 矢澤 卓也, 後藤 隆久, 倉橋 清泰
臨床呼吸生理 46 47 - 47 2014年2月
Alveolar Hypoxia During One-Lung Ventilation Leads To Hif-1 Activation And Lung Inflammation In The Non-Ventilated Lung
K. Tojo, Y. Nagamine, S. Ota, Y. Baba, T. Goto, K. Kurahashi
AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE MEDICINE 187 2013年
第64回日本麻酔科学会総会 最優秀演題
2017年6月 日本麻酔科学会
東條 健太郎
2014 Euroanaesthesia Best Abstract Prize 3rd Prize
2014年6月 European Society of Anaesthesiology
東條 健太郎
高齢者における最適な手術後せん妄予防バンドルの開発と効果検証
研究課題/領域番号:25K12151 2025年4月 - 2030年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
水原 敬洋, 後藤 隆久, 野間 久史, 東條 健太郎
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
Cell-free RNAを用いた全身の細胞の状態を反映した多臓器障害サブフェノタイピング
研究課題/領域番号:24K12137 2024年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
菅原 陽, 川上 英良, 中村 謙介, 東條 健太郎, 高木 俊介
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
大侵襲手術後PIICSの実態解明と予防的治療標的同定のための病態解析
研究課題/領域番号:24K02539 2024年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
後藤 隆久, 水原 敬洋, 杉浦 悠毅, 中村 謙介, 東條 健太郎, 高木 俊介
配分額:18590000円 ( 直接経費:14300000円 、 間接経費:4290000円 )
肺胞上皮細胞のネクローシスを起点としたCOVID-19の重症化機構の解明と治療法開発
2022年8月 - 2023年3月
一般財団法人 横浜総合医学振興財団 令和4年度 新型コロナウイルス感染症研究助成
担当区分:研究代表者
好中球の包括的な免疫代謝解析に立脚した好中球機能の回復による敗血症治療法の開発
研究課題/領域番号:22K09146 2022年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
東條 健太郎, 杉浦 悠毅, 高木 俊介
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
本研究では,免疫系細胞が代謝パターンの変化を介して細胞機能を制御していることがわかってきたことを踏まえ,好中球が様々なエフェクター機能を行使するのにあたり,どのような制御機構で,どのように代謝パターンを変化させているのか解析し,敗血症における代謝機能障害を明らかにした上で,敗血症の治療標的を同定することが目的である。
2022年度には,ラット好中球を用いて遊走因子であるf-MLP,活性化因子であるPMA刺激時の代謝パターンの変化について代謝フラックスアナライザーを用いて解析をした。f-MLP刺激では,解糖系の指標であるExtracellular Acidification Rate(ECAR)の増加が見られた一方で,PMA刺激時にはECARに加えてOxygen Consumption Rate(OCR)の著名な増加が見られた。このOCRの増加はミトコンドリアではなく,ペントースリン酸経路からNADPHオキシダーゼを介した呼吸バーストに伴う変化だと考えられた。上記から,好中球の遊走時と活性化時には異なる代謝パターンが観察されることが示唆された。
上記の結果を踏まえ,今後いくつかの好中球に対する刺激因子を組み合わせる,あるいは段階的に刺激をすることによって,遊走,呼吸バースト,脱顆粒,Neutrophil Extracellular Trapsの形成などのエフェクター機能毎に,どのような代謝パターンを示すのか,さらなる検討を行ない,機能毎にキーとなる代謝経路の同定を進める予定である。
肺胞上皮細胞の自然免疫応答を標的とした院内肺炎予防法開発に向けた基盤研究
研究課題/領域番号:21K09027 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
柏木 静, 東條 健太郎, 高木 俊介
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
本研究の目的は,一度,肺炎等によって肺で炎症が生じた後の肺胞上皮細胞の自然免疫応答の変化について,その背景にある分子機構を明らかにし,免疫応答を正常化させることで院内二次肺炎の新規予防法の開発につなげることである。2021年度にはマウスにリポポリサッカライド(LPS)を気管内投与することによって肺に炎症を起こしてから,炎症が治まってくる1週間後に再度LPSやバクテリア等の病原体の気管内投与を行った際の自然免疫応答について解析を開始した。また,傷害をうけた肺の局所の自然免疫応答について,肺胞上皮細胞を含む種々の細胞の種類毎に解析を行うためにシングルセル懸濁液の作成及び細胞単離法について検討を行った。
LPSを気管内投与後,1週間が経過したタイミングにおいて,再度LPSの気管内投与を行ったところ,肺への好中球遊走の低下が認められ,さらに気管支肺胞洗浄液中のケモカインの量が低下していた。以上から,肺傷害を受けた後にしばらくの間,肺局所の自然免疫応答が低下しており,二次性肺炎が重症化しやすい状態となっていることが示唆された。一方で,マウスの肺組織からのシングルセル懸濁液および細胞単離においては,まず健常なマウスを用いてコラゲナーゼを用いた細胞の分離,懸濁を行ったが,フローサイトメトリーでの解析の結果,上皮細胞系のマーカーである上皮細胞接着因子(EPCAM)陽性となる細胞分画が少なく,全ての細胞を充分に含む細胞懸濁液の作成ができていないことから,別の方法での作成が必要であると考えられた。
敗血症におけるインスリン抵抗性の生物学的意義の解析と治療応用に向けた基盤研究
研究課題/領域番号:21K09053 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
太田 周平, 東條 健太郎, 高木 俊介
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
本研究の目的は,敗血症におけるインスリンシグナルの変化およびそれに対する制御が,敗血症の病態に与える影響を検討することで,その生物学的意義を明らかにし,インスリンシグナル経路およびその下流の代謝変化を標的とした新規治療法の開発につなげることである。2021年度にはマウスの盲腸結紮穿刺(CLP)敗血症モデルを用いて,グルコース代謝の変化を解析するとともに,Insulin Receptor Substrate(IRS)-1,及び-2のノックアウトマウスの安定した繁殖を目指して研究を行った。
マウスのCLP敗血症モデルにおいては,コントロールであるsham手術マウスと比較して,24時間後の段階で血糖値が低下する傾向があることを確かめることができた。腹腔内投与によるグルコース負荷試験およびグルコース+インスリン負荷試験をおこなったところ,グルコース負荷試験においてCLPマウスにおいては血糖値の低下がsham手術マウスよりも早い傾向が認められた。さらに,sham手術マウスではグルコースと同時にインスリンを投与することで,血糖値の増加が抑制できた一方,CLPマウスにおいてはグルコースのみの投与と比較して明らかな変化が見られなかったこと。これらを総合すると,CLPマウスにおいてはインスリン非依存性,依存性それぞれのグルコース代謝に異なる特徴的な変化が見られることが示唆された。
また,IRS-1,-2のノックアウトマウスについては安定した繁殖にやや時間を要したが,2021年度末には十分な繁殖を行うことができてきている。
TITINを軸とした重症病態における筋力低下に関連する筋実質障害の解析
研究課題/領域番号:21H03030 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中村 謙介, 下條 信威, 山川 一馬, 東條 健太郎, 土井 研人
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
重症病態の治療後にはpost-intensive care syndrome PICSと言われる様々な後遺症を生じ、特に筋肉の障害critical illness myopathy CIMは重篤な身体障害を引き起こす。先行研究で集中治療患者において筋肉の構造物であるTITINのフラグメントが尿中に大量に放出され、その量が筋力の低下に関連することを示した。TITINは筋原線維であるアクチンのZ帯とミオシンのM線を結びつける筋収縮に重要な構造物であり、重症患者の筋力低下に直接的に関わる筋実質の障害機序にTITINの崩壊があると考えられた。CIMをきたしやすいARDS(重症呼吸不全)と敗血症を軸とし、①オーストラリアThe Prince Charles HospitalのCritical Care Research Group研究室における羊のARDSモデル(STARDUST study)にてCIMにおけるTITIN崩壊を検討する、②敗血症患者の離床とPICSを調査する多施設前向き観察研究ILOSS studyにおいてサブ研究としてTITINを評価し身体機能との関連を検討する、③日立総合病院においてTITIN評価とより詳細な身体機能、筋肉量評価を行い、TITIN障害時にどのような身体障害をきたしやすいか検討、挑戦的に超音波による大腿直筋の画像分析を実施、機械学習により筋実質の障害に応じた輝度パターンの探索を行い、TITIN障害や筋力低下を予測する臨床評価の開発を行う。
敗血症に対する腸管上皮細胞特異的な低酸素誘導性因子活性化による腸管バリア保護の研究
2020年9月 - 2021年3月
横浜総合医学振興財団 わかば研究助成
担当区分:研究代表者
メラトニン/ラメルテオン投与による術後睡眠障害予防効果の検討
研究課題/領域番号:20K09201 2020年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
水原 敬洋, 後藤 隆久, 窪田 和巳, 東條 健太郎
担当区分:研究分担者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
令和2年度は、メラトニン/ラメルテオン投与により成人患者における術後睡眠障害が予防できるかどうかを検討するための系統的レビュー・メタ解析を進めてきた。
網羅的な文献検索を行うために、PubMed、Embase、CENTRAL、Web of Scienceのそれぞれに対して検索式を別個作成し、検索を行った。以下にCENTRAL用に構築した検索式を示す。
([mh melatonin] OR melatonin*:ti,ab OR "ramelteon[Supplementary Concept]" OR ramelteon*:ti,ab OR rozerem:ti,ab OR "tak 375":ti,ab OR "tasimelteon[Supplementary Concept]" OR tasimelteon:ti,ab OR valdoxan:ti,ab OR "S 20098[Supplementary Concept]" OR "S 20098":ti,ab OR agomelatine:ti,ab OR "N acetyl 5 methoxytryptamine":ti,ab OR circadin:ti,ab OR armonia:ti,ab OR melamil:ti,ab OR benedorm:ti,ab OR sleepwell:ti,ab OR BP2013:ti,ab OR JL5DK93RCL:ti,ab) AND (("surgery[MeSH Subheading]" OR surgery:ti,ab OR [mh "surgical procedures, operative"] OR (surgical:ti,ab AND procedures:ti,ab AND operative:ti,ab) OR "operative surgical procedures":ti,ab OR [mh "general surgery"] OR (general:ti,ab AND surgery:ti,ab) OR "general surgery":ti,ab OR surgery's:ti,ab OR surgerys:ti,ab OR surgeries:ti,ab) OR ([mh anesthesia] OR anaesthesia:ti,ab OR anesthesia:ti,ab OR anaesthetic*:ti,ab OR anesthetic*:ti,ab))
また、事前登録サイトであるClinicalTrials.gov、UMIN、WHO ICTRPの検索も実行した。この結果、1000件以上の文献がヒットしたため、現在は文献の抽出作業を行っている。
エネルギー代謝不全に注目した敗血症に伴う好中球機能障害の原因分子探索
2019年10月 - 2020年2月
旭化成ファーマ A-COMPASS(オープンイノベーション事業)
東條健太郎
担当区分:研究代表者
敗血症モデルへの層別化メタボローム解析に基づくPICSメカニズム解明と治療法探索
研究課題/領域番号:19H03753 2019年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
後藤 隆久, 宮崎 智之, 東條 健太郎, 杉浦 悠毅, 新倉 怜, 高瀬 堅吉
担当区分:研究分担者
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
本研究の目標はラットを用いた敗血症後の中枢神経系post-ICU syndrome PICSモデルを構築し,脳における網羅的な代謝産物解析を行うことで,敗血症後の中枢神経PICSの病態メカニズム,新規治療法を探索することであった。2021年度より長期的に炎症が継続する敗血症モデルとして盲腸結紮穿刺(CLP)モデルを作成し,2週間後に Inhibitory Avoidanceテストを行った上で,血中のサイトカイン濃度を調べたところ,若年ラットの敗血症では,脳の炎症が回復期の行動実験の成績悪化と関連している可能性が示唆されたが,中枢神経への大きな影響は観察されなかった。
これを踏まえ,当該年度には中枢神経ではなく,身体的PICSのモデル構築,解析を行う方針に切り替え研究を行った。最初にCLPモデルマウスを用いて,2週間後までの運動機能について評価を行った結果,自発運動機能はある程度改善したものの,ワイヤーハングテストにおける握力の低下が継続しており,また協調運動機能も低下している傾向が見られた。一方で,筋断面積については明らかな低下は見られず,機能的な原因で筋力の低下が起きている可能性が示唆された。また,急性期における筋肉の代謝変化を見るためにLPS誘導性ショックモデルにおける筋肉のメタボローム解析を行ったところ,異化亢進に加え,ケトン体の増加やアセチルカルニチン/カルニチン比の低下といった代謝障害を示唆する結果が得られた。以上から,若年マウスを用いた敗血症モデルにおいては急性期に異化亢進,代謝障害が生じ,機能不全を主因とする筋力低下が生じることが示唆された。
肺動脈平滑筋細胞内シグナルに着目したARDSによる肺循環障害の新規治療標的の探索
研究課題/領域番号:19K09422 2019年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
金丸 栄樹, 東條 健太郎, 菅原 陽
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
今年度はよりARDSによる肺高血圧を再現したモデルを構築するために,LPS気管内投与モデルおよび健常コントロールラットにおいて,呼気終末陽圧(PEEP)をかけないことで,無気肺ができるような条件で人工呼吸を行った際の肺循環の評価を行った。LPS投与24時間後のラットおよびコントロールラットに対して,人工呼吸開始直後にリクルートメント手技を施行し,ベースラインの評価を行った。LPS投与群では右室圧が増加しており,また気道内圧が高く肺のコンプライアンスが低下していると考えられた。その後,PEEPをかけずに人工呼吸を行うことで,LPS投与群,コントロール群共に気道内圧が経時的に増加したことから,無気肺形成に伴う肺のコンプライアンス低下が生じていると考えられた。同時に右室圧は両群において経時的に増加しており,低酸素性肺血管収縮による肺高血圧が生じると考えられた。
上記のLPS気管内投与モデルでは右室圧の増加が軽度であったことから,より強い肺高血圧を生じるモデルとして,モノクロタリン誘導性肺高血圧症モデルに対して,LPSを気管内投与することによってARDSを引き起こす動物モデルを作成した。50mg/kgのモノクロタリン投与後3週間の時点で,モノクロタリン投与群で軽度の好中球浸潤が認められた。さらにLPSを気管内投与したところ,LPSのみを投与した場合と比較して好中球浸潤が大きく増加することが確かめられ,肺高血圧症が相乗的にARDSの増悪因子になりうることが示唆された。
プログラムネクローシスがARDS及び続発する遠隔臓器傷害に与える影響の検討
研究課題/領域番号:17K17062 2017年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
東條 健太郎
担当区分:研究代表者
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
前年度までにLPS誘導性肺傷害モデルにおける肺胞上皮細胞死において,気管支肺胞洗浄液中の上皮細胞の全細胞死マーカーであるサイトケラチン(CK)18M65,アポトーシスマーカーであるCK18M30を測定することで,ネクローシスが主体であることが明らかになっていた.
本年度はさらに,肺組織切片を用いて,ネクローシス,晩期アポトーシス細胞の生体へのヨウ化プロピジウム(PI)投与によるラベリング,アポトーシス細胞のTUNEL染色によるラベリングによって細胞死のパターンを評価した.CK18M30,M65マーカーを用いた結果と同様に,気管内塩酸投与肺傷害モデルにおいてPI陽性細胞が著増した一方,高濃度酸素曝露肺傷害モデルにおいてはTUNEL陽性細胞が貯蔵した.さらに,LPS誘導性肺傷害モデルではPI陽性細胞が優位に増加した一方,TUNEL陽性細胞の増加はほとんど見られなかった.以上から,組織切片を用いた検討でも,LPS誘導性肺傷害においてネクローシスによる肺胞上皮細胞死が主体であることが確かめられた.
次に,LPS誘導性肺傷害モデルにおいて制御されたネクローシスに関連する遺伝子群の発現が増加しているか網羅的に検討するために肺組織中の遺伝子発現をPCRアレイキットを用いて解析した.変化の見られた遺伝子群に対してgene ontology and pathway enrichment analysisを行った結果,necroptosisに関与する遺伝子群の発現が有意に亢進していることが明らかになった.
また,以上の結果をまとめ,学会発表および論文投稿を行った.
ARDSに伴う肺胞上皮細胞死はアポトーシスなのか,ネクローシスなのか?
研究課題/領域番号:17K11582 2017年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
内本 一宏, 東條 健太郎, 水原 敬洋
担当区分:研究分担者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
昨年度までに動物を用いた予備的な検討を行うことで,血清中のサイトケラチン18(CK18)は肺胞上皮以外から放出されたCK18を多く含むため,必ずしも肺胞上皮細胞の傷害を反映しないことがあることが明らかになり,研究計画の見直しが必要になった.本年度はこれを踏まえて,動物を用いた予備的検討をさらに進めるとともに,臨床検体を用いた研究のプロトコル策定を行った.
動物実験では,リポポリサッカライド(LPS)誘導性肺傷害モデルにおいて,気管支肺胞洗浄液中の上皮細胞の全細胞死マーカーであるCK18 M65とアポトーシス特異的なマーカーであるCK18 M30を測定した.LPS誘導性肺傷害ではCK18 M65,M30ともに増加が見られたがが,M65の増加がより顕著でありネクローシス主体の肺胞上皮細胞死が生じていることが示された.さらに,ヨウ化プロピジウムの投与とTUNEL染色を組み合わせた組織染色法を用いることで,ネクローシス,アポトーシスを弁別すると,CK18 M65,M30を用いたときと同様にネクローシス及び晩期アポトーシスを反映するヨウ化プロピジウム陽性細胞が多く見られるのに対して,アポトーシスを示すTUNEL陽性細胞の増加はわずかであることが示され,CK18 M65,M30のマーカーとしての妥当性が確かめられた.本成果については学会発表,論文投稿を行った.
以上を踏まえて,臨床検体を用いた研究においては,横浜市立大学附属病院において心臓血管手術を受けた患者における血清もしくは喀痰サンプル中のCK18 M65,M30が,臓器不全の進行,もしくは呼吸不全といった合併症と関連を持つのか検討をする方向で策定を進めている.
メタボロミクスによる傷害肺のエネルギー代謝の包括的解明と治療応用に向けた基盤研究
研究課題/領域番号:16K11414 2016年10月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
太田 周平, 東條 健太郎, 宮崎 智之, 馬場 靖子
担当区分:研究分担者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
前年度までの研究によって,LPS及び好中球によって傷害をうけた肺胞上皮細胞では解糖系の亢進が見られる一方,酸素消費量の低下が見られることから酸化的リン酸化が低下していることが明らかになった.
本年度はこの背景にあるメカニズムを明らかにするために,マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った上で,それに対してpathway解析を行った.LPS+好中球による刺激後4時間,24時間のサンプルからRNAを抽出した上で,受託サービスを利用してマイクロアレイ解析を行った.4時間,24時間においてそれぞれ641個,1133個の発現変化のある遺伝子が抽出された.代謝経路に対する解析を行うために,KEGG pathwayに対するenrichment解析を行った結果,主に炎症に関わる遺伝子群の発現が見られたが,同時に低酸素誘導性因子経路に関わる遺伝子群が有意に変化していることが明らかになり,解糖系,酸化的リン酸化の変化の背景メカニズムであることが示唆された.
さらに,細胞死が進行してくる24時間後のみにおいて変化している遺伝子を抽出したところ,681個の遺伝子が変化していることが明らかになった.この遺伝子群に対して同様にenrichment解析を行った結果,中心代謝と関わりのある経路としてインスリン抵抗性経路に関与する遺伝子群に変化が見られることが明らかになった.傷害を受けた肺胞上皮細胞における遺伝子発現の変化はインスリンシグナルの伝達が抑制される方向に変化していた.
肺胞上皮細胞における低酸素誘導性因子の機能解析と肺傷害治療開発に向けた基盤研究
研究課題/領域番号:15K20054 2015年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
東條 健太郎
担当区分:研究代表者
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
急性呼吸促迫症候群(ARDS)では肺胞上皮細胞がミトコンドリア障害によりエネルギー代謝不全に陥ることで,傷害が引き起こされる.本研究ではARDS実験モデルを用いて,酸素センサー分子プロリルヒドロキシラーゼを薬理学的に阻害することが,低酸素誘導性因子-1経路を介して解糖系を亢進させることで,ARDSにおける肺胞上皮細胞のエネルギー代謝不全を改善し,肺胞上皮細胞傷害を軽減させることを明らかにした.
敗血症性多臓器不全治療に向けた基盤研究:HIF-1による組織代謝制御の解明
研究課題/領域番号:26462759 2014年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
山口 修, 東條 健太郎, 柳 大介, 倉橋 清泰
担当区分:研究分担者
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
敗血症動物モデルを用いて,敗血症早期の肺組織においてHIF-1αの増加が見られること,また同時にATP濃度が増加することを明らかにした.一方で,遅いタイミングでは肺組織のHIF-1αレベルは低下し,ATP濃度が低下することが明らかになった.以上から,HIF-1αの増加は敗血症において組織のエネルギー代謝を保つ保護的な効果を持つ可能性があることが示唆された.
本研究によって,今後,HIF-1の制御が,敗血症における組織エネルギー代謝を改善,ひいては治療効果をもつのかどうかの検討を行うのにつながる基盤的な知見を得ることができた.
肺胞上皮増殖因子遺伝子導入による肺保護戦略ー臨床応用へのアプローチー
研究課題/領域番号:25462826 2013年4月 - 2016年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
馬場 靖子, 倉橋 清泰, 矢澤 卓也, 東條 健太郎, 長嶺 祐介, 鐘ヶ江 裕美
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
KGF(Keratinocyte Growth Factor),MSC(Mesenchymal Stem Cell)は肺傷害の軽減や修復の促進に有効だという研究結果が報告されている。
MSCにKGFを遺伝子導入し、炎症部位に遊走したMSCがKGFを過剰発現させることでKGFの傷害軽減効果を増強できないか、検討した。
MSCにKGF発現アデノウイルスベクターを導入し、KGF遺伝子の発現を確認した。MSCをマウスに投与して、マウスの体内でKGFが発現したのを確認した。肺傷害の動物モデルとして、盲腸結紮後腸管穿刺後肺傷害、上腸管膜動脈阻血再還流後肺傷害のモデルを作製した。
Section Editor (Respiratory Medicine), Journal of Anesthesia
役割:企画立案・運営等
2025年6月 - 現在